* 我慢比べ *




目の前には白い山。
傍らには君の入れてくれた珈琲。
君はバスローブ一枚で、胸元がはだけているにもかかわらず愛犬のグルーミングに熱心だ。
そしてその柔らかそうなまなざしを時々ギラリとした凶暴なものとすり替え、私に釘を刺す。

「大佐、手が止まってます」

「…はい」

いや、確かにこれだけ全部私の仕事だがね。
溜めたのか私なのも、きっちり認めるけれど。
この状態で『お預け』はもの凄くキツイって、君知らないとか言わないよな…?

ソファに座っている私の左の太股に頭を置いて横になり、そのままブラハと戯れているのだ。
私は座ったままで書類をひたすら片付ける。
これって拷問?

さっきからずっと君の胸元は露わになったままだし。
時々出来心で髪を撫でると気持ち良さそうに瞼を閉じるくせに。
肌に触ろうとすると、その視線。
けれど君のバスローブの裾は太股が見える程に捲れ上がっている。
そして、そんか葛藤と戦っている私をよそ目に、彼女のバスローブにブラックハヤテ号が鼻を突っ込んだ!

「きゃっ!?」

慌てて彼女は起き上がるが、後の祭り。
ぺろりと派手に裾が捲れ、慌てて起き上がったが為に体勢を崩した彼女がソファから転がり落ちた。

「………大丈夫かね?」

「にやけた顔で聞かないでください」

だって。
そうはいうけど、君。
左肩は丸出しだし、太股どころか脚の付け根まで見えてるし。
それでもって、両膝を立てて座っているから…。

「私は今、切実に君のその白いレース地の下着を脱がせたいのだがね」

彼女が嫌がる笑顔をわざと見せれば、しかし彼女は立てていた膝を倒して私を見上げた。

「ですから、さっさと書類を終わらせていただかなくてはと、何度も申し上げているじゃないですか」

…え?
何、つまり我慢しているのは君の方だ、と…?

見上げて来る視線に、常には見当たらない媚びを見つけ、笑いそうになった。

さて、まだまだ書類はあるのだが…。
この可愛い副官殿を、一体どうしてくれようか?






END



「欲しいと思ってるのは、貴方だけじゃないんですから」というお話。
狼さんの前に餌をぶら下げてみたい時もあるらしい。

2005/05/25 気侭に徒然。UP
2005/09/13


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