* 私のこの人 *




「貴方は少々潔癖すぎるところがあります」

目の前の人は、視線も合わせずにさらりと言った。
その長い髪に手を伸ばすと、猫のように『手中には収まってやるものか』と身をかわす。
こちらへと投げかけてくる視線はどこか冷たく、どこか切なく。

潔癖というならば、それは間違いなく彼女の方だと思う。
己の道をただひたすら抱きしめ、貫き通しながら。
私達は多くのものを共有していて、それが故に相手に助けを求めないようにと必死で。
だからこそ彼女は、最後の一線で私を拒む。

互いが互いの脚を引っ張らないようにするために。
別に私は、彼女が縋り付いてくれるなら、願ったりなのだけれど。
まぁ、そんな人だからこそ可愛くて仕方ないわけではあるが。

たまに『寂しい』と思ってしまうのは、僅かに存在する親心だろうか。
私はこの人を少し大切にし過ぎている、と自覚もしている。
そして永遠にそれを続ける訳にはいかないということも。

「そう、かな?」

「えぇ。それだけの潔癖さを仕事に回して下されば、もう少し捗るでしょう」

そう、溜息と共に睨みを効かせてくる様も可愛らしい。
自然と頬が緩みそうになるのを堪える。
バレたら、また怒られるのは目に見えていた。

「あー、はいはい。御小言ならその辺にしといてくれ」

「なら、言われないような態度を取ってください」

こんなやり取りも、もう何回繰り返したことか。
私達の関係は、まだ先の見えない線の上にあるのだから、その分その先がどうなるかはわからない。
いつ、何があるか。
どんな変動によってこの関係が崩れるのかも、予想は出来ない。

きっと、どこかに最善はあるのだろうけれど。
それをあえて求めなくとも大丈夫だと、思い込む私はとても卑怯なのだ。

「まぁ、いつか、そのうち」




END



ロイアイとも、トリトリとも読めるものを目指しました。
共通点を曖昧に引っ張り出すのが苦労した!!(笑)
一番の泣き所は、白梟を「彼女」と指したことです。ぎゃふん!

2007/05/17 気侭に徒然。UP
2007/07/26


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